どんな仕事でも外からの印象と実際のギャップはあるものですが、タクシードライバーというのは特にそのギャップが大きい仕事だと思います。
基本的に慢性的人不足の業界なので、転職サイトなどでキラキラしたPR広告やヨイショ記事を目にすることも多いと思いますが、そういった雇用側の出す情報と実際に働いてみた実感の落差はかなり大きいです。
今回は私自身が働いてみて特に失ったと感じたものや後悔した点を5つ挙げてみたいと思います。
第5位 社会的信用
基本的にタクシードライバーは社会的信用がありません。職業がタクドラというだけでローンやアパート入居の審査に落ちたりするのはもちろん、婚活みたいな場面でも圧倒的マイナス地点からのスタートを強いられます(↓参考記事)。
特に住宅ローンに関しては厳しく、私の周りを見る限り銀行系で借りることはほぼできないようです。運よく借りれたという人もいましたが、中堅以上の会社所属で一定以上の勤続年数と売り上げがある人だけで、それもノンバンクで高金利の条件を飲まされるという条件つきでした。
銀行に勤める知人に聞いたところ、タクドラは歩合給の不安定さに加えて離職率が異常に高く、事故や違反で免許を失って働けなくなるという収入喪失リスクも高いことから、銀行では基本的に融資を断っているという話でした。
タクドラは雇用契約の体裁こそ正社員でも経済的・社会的な評価としては個人事業と同レベルの評価しか得られないということを覚悟しなければなりません。
第4位 ゴールド免許
タクドラになると大半の人が新人期間のうちに何らかの事故・違反を起こします。これは運転に気を付ければどうにかなるというものではなく、タクシーは最大限お客さまの要望に沿って運転しなければならないという仕事の性質上、不可避的に発生します。
たとえば深夜に全く知らない道で、お客様に「ちょっとさっきの場所に戻りたいから、今すぐここで転回して」と言われたら(なぜかよくあります)、それができる場所か否かを瞬時に判断しなければなりません。
ここで判断を間違ってしまうと、たまたまそこにパトカーがいたら即違反です。そしてなぜかそういう場所ほど深夜にもかかわらずパトカーがひそんでいたりします(経験済)。。。( ノД`))
もちろんベテランになるにつれてそうした事態を上手に回避する技術も身に着くのですが、それでも全てを回避できる訳ではありません。
新人期間のうちにゴールド免許をなくすのはある種この職業の通過儀礼的なものとして割り切るしかありません。。。
第3位 知人・親類
私の場合ですが、「タクドラに転職した」と伝えた途端、連絡が来なくなったり疎遠になった知人・親類もいました。
以前ほどではないですが、やはり「タクドラ=社会不適合者、や〇ざ者」みたいな偏見や烙印は今も根強く残っています。特に地方ではその傾向が強い気がします。
実際に働いてみると周りもほとんどが普通の人で、せいぜいギャンブル好き・車好きの比率と喫煙率が若干高めかな、というくらいの印象でしたが、社会的な偏見は根強いです。
まあそういう前時代的な偏見で相手を選ぶような人と付き合うのも時間のムダですし、消えていただいても別に困ることもないわけですが。。。
第2位 自由な休日
タクドラの勤務は「隔日勤務」という変則勤務のケースが多いです。
これは昼~夕方に出勤して翌日の朝まで勤務するという夜勤の一種です。これを3サイクル続けた後に1日休むというのが基本的な一週間のスケジュールになります。(↓関連記事)
つまり実質週休1日です。またシフトによる変則勤務なので祝日や年末年始、お盆も関係なくシフトが組まれ、普通の会社員のように休日勤務手当がつくこともありません。
この点、求人サイトや人材屋YouTuberなどは勤務明けと翌日の勤務開始までのインターバルが長いことを逆手にとり、夜勤明けの日があたかも普通の休日と同じであるかのようにカウントすることで「年間休日〇〇日!!」などとあたかも一般の会社より休日が多いかのようにアピールしていたりしますが、これは詐欺レベルの誇大広告です。
だって夜勤明けですよ。いくらその日の午前中に解放されたとしても、その日は普通に動けるわけがありません。
そもそも隔日勤務で長いインターバルをとるように定められているのは、1勤務で昼職2日分の労働をぶっ続けでしているからです。言うなら普通のアフターファイブが2個1になっただけなのですが、これを休日にカウントするのは通報レベルの詐欺と言っていいと思います。いつかJAROにでも通報してやろうかしらん。。。
あと、勤務時間的には朝 8:00辺りで終わるケースが多いですが、この時間に帰宅できるわけではありません。ここから煩雑な納金事務と洗車作業という無償奉仕が待っています。
実際にすべての業務が完了するのは早くても朝10時~11時過ぎ、何らかのミーティングなり「自主勉強」なりがある日は昼過ぎまで拘束されることもしばしばでした。
繰り返しますがタクドラは実質週休1日、祝日も年末年始もお盆もない変態シフト勤務の社畜労働というのが偽らざる勤務の実態です。
第1位 健康
運転する仕事全般に共通することですが、基本的に勤務中の大半の時間はハンドルを握るため、必然的に座った状態で同じ姿勢を長時間続けることになります。もちろん乗務の合間合間で体を動かしたりはできますが、忙しい時間帯はトイレに行く暇も惜しんで走り続けることになります。
結果、タクドラの大半は運動不足と隔日勤務の不規則な生活のコンボからメタボになります。一見スマートに見えても横から見るとお腹だけぽっこり出てる人が多いです。そして一旦メタボ体形になってしまうと、ほとんど元には戻りません。
またタクシーの運転席は決して座り心地のよいものではありません。費用対効果の経済性が最優先で、運転手の乗り心地や健康などは二の次三の次です。
だって車両を購入するのはドライバーではなく会社ですからね、自分たちの資本効率を最優先に考えるのは当然のことです。運転席なんて座れればいいという設計です。
そういえば近年各社がこぞって導入している「ジャ〇ンタクシー」も車いす対応設備や客席スペースの広さなどで「人にやさしい」的なイメージですが、タクドラの間ではこの車両に変わってから腰痛やお尻の病気が劇的に悪化したという声が多かったです。
実際私も乗り比べてみたのですが、シートのクッションが妙に堅く、乗り心地に関しては従来型のセダンタイプのほうが数倍よかったです。
そんなこんなでメタボから腰痛のコンボで体を壊し、業界を去る人も少なくありませんが、そんな人でも1~2年足らずの業界経験をネタにタクシー系YouTuber に転身して人材屋まがいの活動をしてたりするので、因果は巡るといったところでしょうか(((´∀`))
他人が何でお金を稼ごうが知ったことではないですが、自分が体を壊して引退した仕事を平然と他人に勧められる神経が理解できません。。。
基本的に人材屋系YouTuber の情報は転職サイトのPR広告と同レベルのポジショントークと思った方がいいと思います。彼らは転職させてなんぼの商売ですからね・・・
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