はてさていい加減ネタも尽きて来た感もあるのですが、最近やたらロシア語のスパムコメントが多くて目を通すのもうんざりしたまま放置してたら、こんなコメントがついてました。
※本来は送信者にモザイク入れて差し上げるべきでしょうが、あからさまなスパムなのでそのまま晒します。
なんか難しげな英語書いてますが、要は「バリの不動産投資をしませんか?」というセールスのようです。なんじゃそら?? 不動産なんて国内の案件でもびびって石橋を叩いているうちお漏らししてしまう小心者(※過去記事参照)だというのに、海外不動産なんてあり得ん! と思ったのですが、リアル富裕層では実際にやってる人もいるようです・・・興味ある人はYoutubeなどで検索すると賛否両論出てきて面白いかもです。
もちろん個人的には絶対お勧めしません。リスクがあった時自分で対処できないですから。物件はもちろん現地のブローカーとやらも実際どんなものか、行かない限り存在確認さえできないですし。
見えないものは信じない。見えるものも完全には信じない。それが私の投資ポリシーですが、今回はそう考えるようになったきっかけについて書いてみます。
そんなこんなで銀行の門をたたいてしまう
少し前の話ですが、前職の退職時に少ないながらも退職金があり、それまでの貯蓄と合わせて数百万の余剰資金ができた時期がありました。
当時は絶賛マイナス金利の時代で、普通に預金に入れていても数十円しか利息がつかない時期でしたから、多少でも増やす方法はないかと考えました。
そこで私が最初に選んだのは「銀行の勧める投資信託」でした。
今にして思えば紹介元がちゃんとしているから安定していると思ったのですが、考えるまでもなく投資は自己責任、ろくに調べもせずとりあえず定期預金の相談にでもと銀行の窓口にのこのこ出かけたのが間違いのもとでした。
銀行によって扱いの違いはありますが、地銀や大手でも地元密着型の営業をしてくるところでは私のような雑魚レベルの預金額でも別室に通され、投資信託を売るためなら支店長クラスが当たり前のように商談にでてくるというのを、当時の私は知る由もなく・・・
「今ならキャンペーンで資金の半分を投資信託に入れてくれたら預金の金利を優遇します」だの、
「もしリスク面が不安ということでしたら値動きの穏やかな債券中心に運用すれば大丈夫ですよ」
だの言いくるめられて銀行おすすめの投資信託に誘導され、あれよあれよという間に書類にハンコを押してしまったのが間違いの始まりでした。
2年ほどはプラスだったが・・・
そんな適当な投資でしたが、2年ほどの間は幸いにもアベノミクス後の好景気に支えられ、順調に残高が伸びていきました。最大で元本の8%プラスほどになっていました。年間利回りで言えば4%ほど、ゼロ金利の時代に安定投資としては悪くない数字です。
「もう少し増口してもいいんじゃね?」とさえ思い始めましたが、転職活動やら新しい仕事での慣れない業務やらで忙しくなり、残高も安定して増えていたので、「まあいいか」と、すっかり安心して口座状況のチェックすらしなくなり、しばらくそのまま放置してしまいました。
後で思うと、ここが大きな分かれ目でした。
結論から言うとその間にアメリカ金利の上昇=債券相場の暴落(※)に巻き込まれ、あれよあれよという間に価格が急落してしまい、半年以上待ってもだらだらと値を下げ続けて底を打つ気配すらなく、結局泣く泣く損切りすることになってしまったのです。
※金利が上がると債券の価格は下がります。なんか腑に落ちませんがそういうものらしいです。どうしても気になる人は自分でググってみてください。。
その額約25万。利益どころか10%以上のマイナスで終わりました。
もちろんこの程度の損失は損失の内にも入らないぞという投資ガチ勢の方もいるでしょうが、私にとってはタクドラの1か月の手取りどころか額面給与でも届かない金額です。まさに断腸の思いでしたが、価格が下げ止まる気配もなく、そのまま放置していれば損失がふくらむばかりです。仕方なく夜勤明けの日に損切り決済をしに行くことにしました(※)。
※銀行で販売している投資信託にはネットや電話では解約できないものがあります。この場合解約したければ平日昼間の銀行の営業時間に窓口へ行かなければなりません。
支店長が出てくる
まず私が疑問に思ったのは、安定していると言われた債権の運用でなぜ元本の10%近い損失が出たのかということでした。
そもそもアメリカの金利が上がったといっても0.2とかせいぜい0.5%という単位なのに、その債権で運用している商品の価格がその何十倍もの勢いで下がるというのが原理的に理解できません。
また損失が急拡大しているにも関わらず何の知らせもなかったことも納得できないポイントでした。(もちろん自分でチェックしろという話しなのですが、少なくない信託報酬を支払っているのだから値動きの急変くらいは知らせるべきではないでしょうか・・・)
とはいえ投資は自己責任というのは最初から説明を受けていますし、今更そんなことを蒸し返したところで1円でも戻ってくるわけではありません。私は窓口で端的に「運用状況がマイナスなので解約したい」とだけ伝えました。
すると慌てた様子で奥から支店長さんが飛び出してくるなり別室に案内され、「もう少し考えてみませんか」と引き留められたのです。
いわく、今回のマイナス運用はFRBの金利引き上げが原因で、この引き上げもいつまでも続くものではない。損失の原因は明白だから持ち続ければ必ず反発するので保有継続することを強くお勧めします、云々。
しかしさすがにこの時までには私もいろいろと調べてあり、これらは全て想定済みの内容でした。
もちろん金利が反転すれば債権が値上がりに転じるという理屈はその通りなのですが、いつ金利が反転するかなんて誰にも、何なら当のFRB自身にも分からない話です。その間マイナス運用を放置しているのは時間と資金のムダでしかありません。
また損失の原因が明白というのであれば、なおさら運用段階でなぜ損失を事前に回避できなかったのかも謎です。だってFRBが段階的に利上げするというのは突然の決定でもなんでもなく、当時のアメリカ金融政策界隈で前々から想定されていた流れだったからです。
資産運用のプロが運用する以上、そういう普通に予測できる経済情勢の変化への対処も当然してくれていると思っていたのですが、これでは値下がりが確定している債権のポジションをリスクヘッジもせずに倍プッシュで鬼ホールドしていたとしか思えません。。。
要するに無能です。こんなファンドに信託報酬を払い続ける価値などありません。
・・・等々、言いたいことはいろいろあったのですが、向こうも仕事で真面目にルーチンのセールスをしてるだけなので、そんな人相手に議論なんてふっかけてもお互いに時間の無駄でしかありません。私は事前に考えておいた切り上げトークで話を打ち切りました。
「生憎ですが他の収入で黒字があり、確定申告で損益通算するので解約でお願いします」
ここまで言うとさすがにこちらが単なる思い付きで解約に来たわけではないと悟ったようで、しぶしぶ事務手続きの担当者につないでくれました。
しかしタクドラの小金程度でも支店長自らが出動しなければならないなんて、いまどき銀行のノルマも大変なようですね。。。
ちなみにこれは単なる解約のための方便ではなく、後日実際に確定申告で損益通算を行い、無事数万円の還付金をゲットしました。
まあ損失額に比べたら微々たるものですけどね・・・
※確定申告で還付金があるかどうかはケースバイケースであり、必ず生じるものではありません。
わからないものに投資してはいけない
今回この失敗で学んだのは、「わからないものに投資してはいけない」という、至極当たり前のことです。
何となくで儲かっているうちはいいですが、金利政策やら何やらで流れが変わったときにどういったリスクがあるか、どれだけの損を被る可能性があるか、きちんと把握できていなければ、それにどう対処すべきかを決められません。
今回、私はそもそも債権で運用する投資信託の仕組みを十分理解しないまま投資してしまいました。また銀行の「プロが安定運用する」といううたい文句を信用して、値動きのチェックすらおろそかにしてしまいました。
どのような投資であれ自分の大切なお金を預ける以上、どういう仕組みなのか自分の頭で理解できないスキームに任せてはいけないというのが投資の鉄則です。
近年ではデリバティブやら仕組債やら、もっと複雑な金融商品もありますが、仕組みが複雑であればあるほどリスクの所在や規模も見えにくくなります。そんなものを触っていいのはそれをきちんと理解できる本職のプロだけです。
「儲かるなら自分がやれば」は間違いか
私の親世代もよく「本当にもうかる話なら他人に勧めない」「そんなに儲かるなら自分がやれば」と口ぐせのように言っていましたが、今さらながら本当にそのとおりだったと思います。
もっとも投資界隈のユーチューバー からはこんな反論もあるようですが・・・
まあこの人たちの言ってる理屈は確かにそのとおりなんですけどね。儲かる話でも多くの人にそれを広めて収益を上げるという事業スタイルが存在し得るというのは確かにその通りです。
理屈としては正しい話だと思います。
ただ現実問題としてそういう「おいしい話」が一般人のところに向こうから来てくれるなんてことはまずありません。
一般人のところに転がって来るのは投資信託しかり、ワンルームマンションしかり、基本的にこちらがリスクを負って「向こう」が確実に儲かる話だけです。
この動画は言ってることは論理的には間違ってないですが、詐欺まがいの案件が横行する投資界隈の現実を無視しているという点で単なる理想の絵空事です。彼らが言うように「本当にもうかるなら他人には勧めない」という言説は(ロジックとしては)必ずしも正確ではないかもしれませんが、一般人の生きる知恵としては間違っていないと思います。
そして一般人としてはこんな投資系ユーチューバーののたまう理論的な正しさより詐欺案件をつかまされずに平和に生きのびる知恵の方が百万倍有用だと思います。
投資系ユーチューバー様がどんな屁理屈をこねようが、結局は不動産投資なんて詐欺まがいの案件だらけで、本当に儲かるまともな物件ほど一般人には出回らないのが現実の実態ですからね。現実を無視した理論的な正しさなど無意味です。
無意味どころかなまじロジック的には正しいことを言っているように見える分、有害ですらあり得ます。
逆張りの言説で再生数を稼ぐ戦略なのか、あるいは自らワンルームのおすすめ案件でも売りつけるための前振りのポジショントークなのか知りませんが、この手のチャンネルの視聴者に変な被害が出ないことを祈ります・・・
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