元タクドラ、ワンルーム業者(以下ry 【後編】

さてそんなこんなでクソ業者とは無事に商談不成立で終わったのですが(前記事はこちら)、せっかくの機会なので、業者の持ってきた案件がいかにヤバいかを検証してみたいと思います。

資産運用に興味あるタクドラなんておるの?と思うかも知れませんが、意外に中高年の独男タクドラには一定数「お金を増やすのが趣味」みたいな人もいます。

まあパチ〇カスとかギャンブラーの方が圧倒的に多いんですがね・・・

独男のギャンブラーはマジでヤバい人がいます。周りに小金借り倒した挙句辞めてトンずらするとか普通にあります。同僚なんていっても信用性はその辺の通りすがりの他人と大差ありません。

余談ですが独男でお金が趣味の人は人間的にヘンな人の率が高いです。もちろん私もですがwww

詐欺物件を真面目に検証してみるww

では今回実際に紹介された案件を見てみましょう。

(物件1)ワンルーム 築8年 1800万円 家賃70000円 駅徒歩3分

不動産投資に縁のない普通の方は、これだけでは何がどうヤバいか分かりにくいかもしれません。「駅徒歩3分の都心物件、持ってるだけで毎月70000円もらえるなら超優良物件じゃん!」なんて思ってしまうおバカ脳な方もあるかも知れませんが、これは大きな間違いです。

実際、不動産詐欺の業者も限りなくそれに近いセールストークで丸め込もうとしてきますが、絶対に騙されてはいけません。

どんなビジネスだろうが「利益=収入ー支出」です。収入がでかいからといって利益もでかいとは限りません。それ以上の支出があればマイナスになります。(※画像は本文とあまり関係ありません)

ここで重要なのは、不動産投資においては「家賃=収益」ではないということです。不動産は株や投資信託とは異なり、ただ持っているだけで税金や修繕などの大きなコストが生じます。

いくら家賃が入ってこようが駅近の新築だろうが、このコストに見合うものでなければ全く利益にならないのです。それどころかマイナスの負債になってしまうケースも少なくありません。

この点を理解していない人が業者のカモになり、取り返しのつかない負債を背負わされてしまうのです。

では物件1について、具体的な年間の収支を見ていきましょう。

まず年間の収入は毎月の家賃×12ですので 70000×12=840,000円です。

単純にこの額で年間のリターンを計算すると(これを「表面利回り」と言います)、ざっと年利4.7%弱のリターンが得られる計算になります。

この数字だけを見ると「定期預金の利率より全然いいじゃん」と思ってしまうかもしれませんが、そう考えた人はヤバいです。カモネギ予備軍です。

くどいようですがこれは単なる「収入」であって「利益」ではありません。この点を勘違いすると業者に騙されます。

あと念のため現状の家賃が相場と乖離していないか賃貸サイトでチェック(※)してみましたが、近隣の同種物件と比べても特に安い設定ではなく、ほぼ相場通りの額でした。

ということは現入居者の退去後も家賃の値上げは期待できないと考えた方がよさそうです・・・

【※】不動産投資では現状の家賃を相場と比較検証することが不可欠です。安い場合はもちろんですが、高い場合もその理由を確認する必要があります。ひどい場合は高収益を見せかけるために売り出す直前に不自然な契約で入居させ、売却の後すぐに退居してしまうサクラ入居者というケースもあります。

不動産投資はコスト計算が命

不動産を保有すると当然それにともなうあれこれの費用が発生します。

マンションなど区分所有の物件では管理費修繕積立金が必要ですが、これらは入居者ではなく所有者が払います。新築や築浅物件では比較的安めに設定されていることが多いですが、それでも合計で毎月1万円前後は必要です。
これだけで1×12=12万円/年の出費になります。

さらに不動産には固定資産税がかかります。ワンルームの場合でも都心の物件だと年間10万円前後必要です。

さらに万一の備えとして火災保険は必須です。これは入居者が加入するものとは別で、家主側も加入しておく必要があります。これで年間3万円前後必要です。

ここまでの毎年絶対に発生する固定費用の合計は25万円。差し引きの収支は60万円/年となります。

この時点でこの物件の年間利回りは約3.3%強まで低下しますが、費用はこれだけでは済みません。

まず物件の取得にあたっては不動産取得税(3%)が掛かります(※新築は減免されるケース有り)。

また全額キャッシュで買う場合を除いては当然ローンの金利負担が生じます。仮に前記事のオ〇ックス銀行で購入費用を全額借り入れしたとすると(低属性金利3.9%)、この時点で既に上記の運用利回り3.3%は全て吹き飛び、元本はおろか利払いだけでマイナスの収支になります。

こうなると不労所得どころか、ローン完済となる二、三十年後まで働くなりして金利のマイナス分を埋めながら返済していくことになります。もちろん元本部分の返済は別途行わなければなりません。

不労所得のために購入した物件のローンの利息を払うために労働を続けるなんて悪い冗談じゃないの・・・( ノД`))))…と思うのですが、実際にこういった状態に陥っている投資家は少なくないようです。

ちなみに事例の場合で物件価格全額の1800万円を年利3.9%で借り入れた場合、35年分割にしても月78,623円の支払額となり、これだけで家賃収入の70,000円は消し飛びます。

この35年間に発生する負担を計算すると、このローンのマイナス分の支払いと固定費用だけで1,200万円を払うことになりますが、恐ろしいことに費用はこれだけで終わらないのです・・・

まだある見えにくいコスト

不動産保有にともなう費用はまだまだあります。

どんな家でも十年も経つと何らかの修繕は必要です。区分マンションも例外ではありません。

大きなものとしては修繕費用があります。

新築のうちはあまり気にならなくても、築年数が経つごとに様々な修繕費用がかかるようになりますが、入居者の過失などの場合を除いて家主負担が基本です(水回りのトラブルでもあれば一撃で10万単位のお金が簡単に飛びます)。また十数年に一度は外壁の塗り替えなど大規模な修繕も必要です。

このため管理組合に支払う修繕積立金の額も物件が古くなるにつれ上がります。

また退居が生じればその都度ハウスクリーニングなどのメンテも必須ですが、入居者に落ち度のない経年劣化などの補修は家主の費用で行うことになります。

そして無視しがちなのが空室リスク家賃下落リスクです。

入居者が出ていった場合、必ずしもすぐに次の入居者が決まると限らず、数か月以上空室になることも少なくありませんが、その間の収入は完全にゼロとなります。

運よくすぐに次の入居者が決まった場合でも、入居者募集の広告費用仲介会社への謝礼などで家賃2~3か月分の費用が発生します。

さらに築年数が古くなるほど得られる家賃額は下落します。

近隣に新しく駅ができるみたいなよほどの劇的な変化でもない限り、都心の物件であっても築年数が経つほど家賃は下落するのが通常です。

よく「平均家賃」が上がっているなんてニュースもありますが、それは新築を含めたエリア内の平均値が上がっているだけで、既存物件の家賃が上がるわけではないことに注意が必要です。

これらの費用全てひっくるめて収支がプラスにならない限り、投資として成り立たないのが不動産投資です。一般的には表面利回りは低くても6%以上ないと採算が合いません。築古物件なら10%前後はほしいところです。

こうした厳しい現実があるにもかかわらず、節税効果だの「ローンを返し終われば資産になる」だのといった甘言に騙される人が少なくありませんが、絶対に騙されてはいけません。

節税効果というのはその投資が赤字だからこそ発生するのであって、投資としては失敗だと自ら公言するようなものです。


また初年度は物件の取得費用などを計上できるため節税できても、2年目以降は手元にお金は残らないのに税金的には黒字扱いになってしまい節税にすらならないといった事態も生じます。

さらに物件が一定の築年数を超えると減価償却費を計上できなくなるといった税務処理の細かな点にも注意が必要で、とても初心者が気軽にトライできるようなものではありません。

そうして長いローンを返し終わった後のマンションが業者の謳うとおり資産になっているかというと悲しいかな、手元に残るのは年数の経った築古物件だけです。当然購入時よりも大幅に資産価値が下がり、家賃収入も年数相当に下がった状態です。これらの差額も当然マイナスで計上します。

こうした一切合切を計算した上のトータルでプラスになって初めて投資として成立するのですが、はっきり言ってそうなる見通しは絶望的に低いです。

上の例で言えば、35年かけて固定費用1200万+修繕費用・退居コスト・家賃下落等諸々のリスク負担を強いられた挙句、手元に残るのは築43年の老朽化したマンションだけです。ローンが終わった後どれだけの家賃収入が得られるのか分かりませんが、とても生きている間に投資元本を回収できそうにないのは間違いありません。

要するに不動産屋と銀行しか勝たん、それがワンルーム投資の本質的なスキームです。

ええ、不動産は win & win の投資ですよ、わたしたちがね。。。(※画像と本文は以下ry)

ちなみにこの物件1の情報を後で調べたところ、直近の時期に同じマンションの別の部屋が1400万円で売り出されていたことが分かりました。面積や間取りの条件も大差なく、おそらくこちらがこの物件の本来の適正価格に近いと思われます。。。

蛇足ですが、ここ数年の都心部のマンションはインバウンドやオリンピック特需などの影響で投資不適格な水準まで値上がりしています。

インバウンドというとかっこいいですが、外国からの投機資金なんていつまで続くか分かったものではありません。引くときは潮が引くように引いていきます。特にC国とかC国とかC国とか・・・

表面利回り3~4%みたいな不動産投資として到底成立し得ない物件が出回っているのもこのためで、数年前の安い時期に低利のローンで買っていた人ならまだ売却してキャピタルゲインを出せるケースも多く、今のところYouTube界隈では話題になっても大きな社会問題にはなっていないようです。

ただいずれにしてもこうした低収益物件は家賃本体で収支が取れない以上、掴んでしまったらとにかくバブルがはじける前に高値で売り抜けるしか逃げ道はありません。

悪徳業者が本来のターゲットである医者などの富裕層だけでなく低属性のサラリーマンまでターゲットにし始めたのは、そうした売る側の切迫した事情があるからです。

最近どうやら日銀もバ〇の一つ覚えの「異次元緩和」を修正する気になったようですが、いよいよインチキ業者もお尻に火がついてなりふり構っていられない状態なのかもしれませんねwww

結論としては、こんなものを購入するくらいなら値動きの堅い高配当株でも握りしめている方が手間もコストもかからない分100倍マシです。

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