このクソブログをご覧になっている方の中には、既にタクシー会社のブラック体質に嫌気がさしたり他にもっとましな転職先の目星がついて、退職を考えていらっしゃる方もいるかもしれません。
しかし大方のブラック企業の例に漏れず、タクシー会社も人の出入りが激しい分、入る人にはウェルカムでも出ていく人には塩対応がデフォというのが厳しい現実です。
この業界から卒業しようとするなら、一般の会社以上に自分の権利は自分で守るという強い覚悟と多少の準備が必要です。
特に社会保険がらみの制度はある程度事前に調べておかないと、先方の都合のいいように処理されて本来支払う必要のないものまで負担させられてしまうことがあるので要注意です。
今回はそんなブラック企業から足を洗う時に気を付けなければいけないことについて、私のタクドラ卒業の経験を踏まえて書いておきたいと思います。
転職先は辞める前に確保する
まず大前提として、「転職先は辞める前に確保する」のが大原則です。時々ブラック体質に嫌気がさして転職を急ぐあまり、転職先も確保できていないのに勢いで現職を辞めてしまう人がいますが、これは絶対にお勧めできません。
確かに現職を辞めて転職活動に集中するというのも一つの考え方ですが、半年以上生活できる程度の貯金があるとか当面扶養してくれる親族がいるというような、セイフティーネットに恵まれた方以外はお勧めしません。
なぜなら、いくら時間的なゆとりがあっても、生活面の不安を抱えた状態では落ち着いて転職活動に集中することもできないからです。無職状態というのは実際になってみると想像以上にストレスフルな状態です。
「もしこのままずっと仕事が決まらなかったらどうしよう・・・」このどうしようもない底なし無職スパイラルの圧倒的な不安感は、実際に無職状態を体験したことのある人にしか分からないのではないでしょうか。
また後でも書きますが、仕事を辞めてしまうと収入がゼロになるのは当然ですが、それだけではすみません。実際はゼロどころかマイナス以下になる覚悟が必要です。
特に転職経験の少ない離職者がしばしば見落とす点として、「辞めた後の健康保険と年金と住民税の支払いどうする問題」があります。
その場の勢いで後先考えずに仕事を辞めてしまったのはいいものの、退職後二、三か月経ってから突然送り付けられる税やら社会保険料やらの請求書に頭を抱えてしまうようなケースを、私もこれまでの職場で何人か見てきました。
天引きされているうちはあまり意識しませんが、住民税と健康保険料は退職時点で無職になったとしても、昨年の収入ベースで判定されるので、仮に現在の収入が0円だったとしても向こう1年は在職中と同じレベルの金額を請求され続けることになります。(※後述しますが健康保険料については会社負担がなくなる分、二倍になります。)
どうしても転職先が決まるより先に辞めたいのであれば、毎月いくらぐらいの支払いが生じるかは事前に確認して、生活費プラスアルファの財源を確保しておくことが必須です。
あと蛇足ですが、転職先が同業他社の場合は特に「立つ鳥跡を濁さず」を心がけましょう。辞めるからといって仕事で手抜きしたり余計なトラブルを起こしたりすると、狭い業界ですので悪い噂ほど風のごとく伝わり、後々わが身に帰ってきます。
失業手当が出るかどうか確認する
もし何らかの事情で転職先が決まらないまま辞めるのであれば、失業保険がもらえるか、もらえるとしたらおよその金額と、いつからいつまでもらえるかは絶対に確認しなければなりません。
一般に自己都合退職であれば3か月後からの給付スタートですが、退職までの加入期間など受給要件(※厚労省HPリンク)を満たしていることも必要なので、失業すれば必ずもらえるというものでもありません。この辺りも必ず事前に確認しましょう。
失業保険を受給する場合はハローワークでの転職活動が必須ですが、訓練手当をもらいながら資格を取るセミナーなど意外な制度が利用できる場合もありますので、転職先が未定であればぜひ一度相談に行って損はないと思います。
辞めた後の健康保険と年金をどうするか決めておく
転職初心者が陥りがちなワナとして、退職後の健康保険・年金があります。
仕事を辞めると同時に現在の会社で加入している健康保険と厚生年金は脱退の扱いとなり、いずれかの健康保険へ加入しなければなりません。
ここで「どうせ病院に行ってないからいらない」という選択肢はありません。放置していた場合は国保に強制加入となり、保険料を払わずにいると税金と同じ手続きで強制徴収されて詰みます。
転職先で社保加入になる場合を除くと、多くの場合は ①国民健康保険に加入する ②退職する会社の健康保険を「任意継続」する ③家族の社会保険に「被扶養者」として入れてもらう のどれかを選ぶことになると思います。
何も考えず①の国保を選ぶ人も多いと思いますが、退職前の給与水準などによっては②の「任意継続」にする方が安上がりになるケースも多いです。ただし任意継続の手続きができるのは退職から20日以内なので、うっかり放置しているうち国保一択になって泣きを見るケースが多発しています。
退職後の毎月の支払いが万単位で変わることもあるので、できれば退職の前にどちらが有利か検討しておくのがお勧めです。
ちなみに任意継続の場合、毎月の保険料はざっくり言って給与明細に出ている健康保険料の約2倍程度になります。これは在職中は会社と折半していた保険料を全額自分で支払うことになるためなのですが、それでも単純に国保加入するケースより安くなる場合も多いので要チェックの制度です。
てゆうか、国保どんだけ高いねん・・・
ただ会社からのリストラなどの事情によっては国保も減免してくれる場合があるので、一度窓口で相談するのがおすすめです。
あと、年金には健康保険のような「任意継続」の制度はないので、転職先が決まっていない場合は国民年金一択となります。国民年金の保険料に関しては所得にかかわらず一律(令和4年度 16,590円/月 ※日本年金機構HPより)なので、あまり考える要素はありませんが、何らかの事情で手持ちのお金に余裕がない場合などは免除や減額してもらう方法もあります。払えない場合でも絶対に放置せず、窓口で払えない事情を話して相談しましょう。
放置すると全くの未納期間となってしまいますが、年金が出るかどうかの判定では免除や減額は納付した期間としてカウントされます(※年金額は減額されます)。また年金がもらえる場合でも未納で放置していた期間があるとその部分はゼロベースで計算されてしまうので圧倒的に不利です。
【ブラック】「月末1日前退職」に要注意【あるある】
ちなみにブラック企業あるあるとして要注意なのが、会社に退職を申し出たら「月末の一日前で退職したことにしてほしい」と要求してくるパターンです。
私の場合もご多分に漏れず、普段奥の席でふんぞり返って一般ドライバー風情とは話もしないような営業所のトップ爺が出てきて、「事務処理の都合で月末の1日前を退職日にさせてほしい」と言われました。
しかし私の場合はシフトがどうのと退職日を引っ張られた挙句、いやいや月末まで勤務させられて、当の月末最終日は隔日勤務の明けの日でした。その日の朝0時から昼過ぎまで働かせておいて、その日は在籍してなかったことにしてくれというのですから、理不尽を通り越して意味不明です。
なぜそんな不自然な処理をしなければならないのか尋ねてみたところ、同席した事務担当が口をはさんできて、「税金の処理が事務的にややこしい」だの「税や保険料を引かずに済むからそのほうが手取りが増える」だの、あたかもこうした方が君のためだとでも言わんばかりでしたが、私もだてに長年転職常習ニキをやっているわけではありません。ブラック企業のこの手口は学習済みです。
だいぶゴネられましたが、結局鋼のメンタルを発動して「その日は実際に勤務している以上、そんな不自然な扱いには同意できません」で押し切りました。その時の爺のすっぱ悔しそうな顔は今でも忘れられませんwww
転職のベテランガチ勢には「あるある」なのですが、退職する会社がこれを言ってくるのは2万パーセント「社会保険料の会社負担を最後の1か月分ケチりたい」ためです。
調べれば分かりますが、社会保険料の基準は「その月の月末に在籍している会社」です。日割り計算はされません。つまり会社はあなたの退社日を月末の一日前に操作することで、本来雇用者が支払うべき社会保険料負担を丸々1か月分免れることができるという大きなメリットを享受できるのです。
当然最終の給料から引かれる本人負担分の保険料もその分少なくなり、一見手取りの給与も多くなるのですが、この場合は当然自分でその月から国保加入するなり任意継続にするなりして別途保険料を丸々全額負担しなければならず、おまけに国民年金の支払いも発生するので、トータルで見ると労働者的には圧倒的にマイナスになります。
例外としては去年の収入がゼロかフリーターレベルで少なくて格安で国保加入できる場合や、すぐに家族の扶養に入れてもらえる場合ですが、逆に言えばそういう状況でもない限り月末一日前退社みたいなチート行為に同意するメリットはありません。
ちなみにこのチート行為、労基的には「隔日勤務の場合は(労働者の同意があれば)法的にOK」なんだとか。裏は取っていませんが、人事のトップが誇らしげに堂々と説明してたので、さすがに嘘や出まかせではないと思います。
ただ「法的に問題ない」からと言って、本来払うべきものを払わずに済ませて逃げようとするようなチート行為に同意する義理は一切ありませんので、念のため。。。それでも同意を強要してくるような場合は労基に駆け込みましょうwww
それにしても末端タクドラの高々二、三万円の社会保険料をちょろまかすために、営業所のトップまで出てきて猿芝居なんて、今にして思えばちょっと笑えます。てゆうか管理職どんだけ暇やねん。。
しかしこのチート行為、同業の知り合いから聞いた話では私のいたような弱小中堅どころだけでなく、大手系でも普通にまかり通っているみたいですね。
テレビに出ては業界を変えるとか吠えている大手グループの御曹司たちは、果たしてこんな現場の実態をご存じなのかしらん。。。
【追記】この記事上げたらサイトが飛んだ
この記事を上げたところ、なぜかブログがアクセス不能な状態になりました。原因は分かりませんが、何らかの謎の不正アクセスがあったと思われます。
よっぽどこの記事が利害関係者の気に食わなかったんでしょうかね(邪推)。。。((´∀`))
バックアップがなかったので、復元までに1週間ほどかかってしまいました。
まあおかげで復元手段を学ぶことができたし、別記事も書けたので、結果プラスですが。。。
やっぱこの業界、ブラック体質です。足洗って本当によかった。。。
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