この仕事をしていると、どうしても普通一般にはお目にかかることのない、扱いに困るお客さまに当たってしまうことがあります。私が勤務していたわずかな期間にも何度かそういうお客さまを乗せることがありました。
この部分はやはりタクシードライバーへ転職するにあたって一番気になる部分の一つだと思いますので、私自身の体験を書いておこうと思います。
いやな客も接客スキル次第?
この辺り、転職サイトや人材屋さんなどは「いやいや、お客様の大半はよい方ですし、ほとんどのクレームはあなたの運転や接客のスキルの向上で防ぐことができるのですよ」、などと説明します。
そして「めったにない(という)レアケース」を心配するよりも、「クレームを出させないプロの接客を心がけましょう」、などと続け、あたかもどんなモンスタークレーマーもこちらの接客スキル次第でどうにでもなりますよ、といわんばかりに話を丸めるのですが、本当にそう上手くいくものでしょうか?
某Youtuberの人材屋さんいわく「本当にいやなお客さまに当たったのはせいぜい年1回」Σ( ̄ロ ̄lll)だそうですが、ほんまかいな。。。というのが私の実感です。
ちなみにその人材屋さん、実際にご自身でタクシーに乗務してたのは1年半らしいので、その間に1~2回しかいやなお客さまを引かなかったということなんでしょうね。まあ地域性とかもあるんでしょうが、実にうらやましい鉄のメンタルです(遠い目
いやな客は必ず遭遇する
まあ人材屋さんの主張の真偽はともかく(その人が「いやだとは感じなかった」というならそれまでですしww)、普通の神経であれば毎出番とまでは言いませんが最低でも週1程度くらいの頻度では「いやなお客さま」との遭遇を覚悟しなければなりません(都心部・隔日勤務の場合)。少なくても東京や大阪の都心で隔日勤務で営業してそういう経験が年1回で済むなんてことは(普通の神経であれば)常識的にありえませんので念のため。
もっともあなたが人材屋さんを営んでいる立場なら年1回になるかもしれませんがね。そもそも二度とハンドルを握ることもないでしょうし。。。
人間の見方・感じ方というのはその人の立場によって大いに変わるものです
( ̄▽ ̄)ニヤリ。。。
それはさておき。。。
実際、タクシードライバーにとってどういう客が対応に困るかというと、私の場合は「泥酔客」と「ゴネる客」、この2種類でした。
逆に言えば、これ以外のこと、例えば単に「上から目線でえらそうにしてくる」みたいなのは多少ムカつきはしますが、タクシーの運賃に含まれていると割り切ってしまえばどうということもありません。別にその人の部下や家族になるわけじゃないし、好きなだけ「上から目線プレイ」を楽しんでいただけばよいのです。。。
泥酔客
先に断っておきますが、これは単なる「酔っ払い」のことではありません。
ただ単に酔っぱらって運転手にからんでくる人なんて別に大阪じゃなくても珍しくもありません。そんなもので困ってしまうようなら都心でタクドラ稼業なんてできません。
「泥酔」というのは自力で立つのも難しいとか、寝込んだままどれだけ起こそうとしても起きてくれない、食べたものを吐いてしまう、ろれつが回らず意思疎通できない、あるいはそもそもご自身がタクシーに乗っているという状況すら理解できていないなど、要するにベロンベロンに酩酊して錯乱している状態を指します。
こういった状態のお客様は、誰か連れの人が同行する場合を除いては基本的に乗車をお断りしています(※これは法令で認められています)。
ただ実際には途中まではしっかりしていたのに目的地が近くなった頃に起きなくなったり、同行すると言っていた人物が何らかの理由をつけて途中で下車してしまい、泥酔状態の方だけが残ってしまうような状況も多々起こります。
こうした場合はとにかく起きてもらうしかありません。声をかける、車内灯をつける、エアコンの温度を変化させる、後部座席の扉を開ける・・・等々、ありとあらゆる手段を尽くします。
が、それでも起きないときは何をやっても起きてもらえません。
そういう場合、最終手段はやはり警察にお願いするしかありません。とくにお客さまが女性の場合、第三者がいない状態で不用意に体に触れたりすれば、それだけであらぬ疑惑をかけられるリスクもあります。男性ドライバーが女性の体に触れるのは絶対にNGです。
こんなしょうもないことで・・・と心苦しく思いながらも、私も何度も警察の方にご協力いただきました。警察の方は深夜・早朝にいやな顔もせず(多分大阪市内とかでは当たり前なんでしょうね)現場に駆けつけて対応してくださり、本当にありがたかったです。
てゆうか家の外で立てなくなるまで酒飲むとか本当カッコ悪いのでやめましょう(自戒込)。。。
あと「吐く」に関しては会社に言われてエチケット袋作りました。自費で。まあ材料は100均なんですけどね、普通の業界なら会社で一括で用意する範囲のもんじゃないかと思いましたが。まあ所詮タクドラは自営扱いなんでしょうね。
ゴネる客
泥酔よりも頻度は少ないですが、料金に関してゴネるお客を引いてしまうこともあります。
「いつもならワンメーターで行けるのに」くらいの軽い嫌味程度ならいいのですが、ひどいのでは「君本当に道分かってんの? いつもなら1,000円で行けるよ」(←その時は1,100円ほどかかった)などと、してもいない遠回り疑惑をふっかけて難癖をつけられることもあります。
いやいくら近距離でも100円そこらは誤差の範囲なんですけど! そのレベルでごちゃごちゃ言うなら見栄を張らずに大人しく地下鉄に乗れば? どうせ1駅ほどなんだし。。
なんて思っても絶対に言えません。。。
このときのクレーマー氏は画材屋さんの買い物袋とかぶらさげて身なりもそれなりにこじゃれた感じのデザイナー風の男性でしたが、一見そんなセコいクレーム言うような感じの人じゃなかっただけに、逆にトラウマになり、それ以来新なにわ筋方向へは絶対に流さなくなったのも、今となっては遠い思い出です。。
あと最初に「行き方は任せます」と言ったくせに、深夜割増料金で想定以上にメーターが上がるのにびびったらしく、途中で突然「いやこの道の行き方はいつもと違う、絶対おかしいからお前の乗務員証見せろ。タクセン(※タクシーセンターのこと)に通報してやる」みたいなことを言ってゴネ出す客もいます。
いくらナビで確認しても遠回りとは思えなかったのですが、この手合いと「遠回りであるか否か」論争をしても結局「これはいつもの道じゃない、いつもならこんな料金にならない→お前が不正したに違いない」とゴネられるだけで議論にもなりません。
あるいは車が走り出した後になってから「いつも1,000円で行ってもらってるから絶対1,000円以内で行けよ、それ以上はびた一文払わんぞ」みたいなことを高らかに宣言するクソ客もいます。もちろんそんなことはシステム上も絶対にできないと説明するのですが、「いつもそうしてもらってるぞ」の一本やりで埒があきません。(ちなみに会社が新人に投げてくる個人の飲食店みたいなところからの案件はこんなのばかりでした。そらベテラン勢は嫌がるわw)
結局のところこの手合いはゴネて値切ることが目的のゴミカスなので、いくら誠心誠意を尽くして話し合ったところで理解してもらえることは永遠にありません。関わるだけ時間のムダです。
この手のクレーマーは余程の金額でない限りは向こうの主張する「いつもの料金」とやらだけ払ってもらって手を打ち(さすがにそれも払わないというなら警察案件ですが)、メーターとの差額は運転手が自腹で納金するしかありません。
ちなみにこんな場合でもメーターは絶対です。基本的にこの業界ではこういう集金リスクのような現場で生じるリスクも全て運転手が負担し、会社は損をしない仕組みになっています。
こういうどこまでも会社本位のシステムに嫌気がさしたというのも、私がタクシードライバーという仕事を見限った理由の一つです。
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