タクシーへの転職はここに気をつけろ!

繰り返しになりますが私は自分自身の経験上、基本的にはタクシードライバーへの転職はお勧めしません。

ただそうは言っても「背に腹」の状態で転職を考えざるを得ない人もいらっしゃると思います。

今回はそういう方向けに、タクシー会社への転職に当たって気を付けるべきポイントをいくつか書きたいと思います。

賃率に惑わされるな

タクシー会社の求人を見ると、「賃率60%!!」などとやたら賃率の高さをPRしている案件が出てくると思います。

基本的に賃率の高いところは別の部分で帳尻を合わせに来ます。おいしいだけの話なんてありません。

この賃率というのは実際の売り上げ(消費税抜き)のうち、何%が運転手の給料になるかという歩合のことです。もちろん高ければ高いほどよいのですが、基本的には50%前後が一般的で、それより著しく高い場合は何らかの形で他の条件が悪くなっていることを疑うべきです。

特に気を付けたいのは(考えたくないですが)事故を起こしてしまった場合の扱いです。

なぜかタクシーの事故の相手方には高級車が多いらしいです。なんでなんでしょうね・・・(謎

相場よりも賃率が極端に高いところでは、こういう部分の契約条件で「賠償金のうち〇〇万円までは自腹」というように、さりげなく運転手にペナルティーが定められていたりします。

「事故さえ起こさなければいいんでしょ」と思うかもしれませんが、深夜にお客を乗せてお客の指示に従って車を走らせるという営業時の運転は、自分の車を好きなように運転している場合とは比べ物にならないくらい高いリスクを伴います。

実際、わたしの在籍していた営業所でも毎日の点呼で昨日の事故・違反の有無を周知していましたが、ほぼ毎週のように何らかの事故・違反が報告されていました。特に新人ドライバーに関しては、入社後半年経って無事故・無違反を通せるのは全体の三割弱というのがこの業界の実態です。

つまり新人タクドラの10人中7人以上は入社後半年以内に何らかの事故・違反を起こしますので、事故・違反は決して他人ごとではありません。

違反についてはどこのタクシー会社でも当然自己責任ですが、事故が起きた時の対応・条件については会社によってかなり違いがありますので、絶対に要チェックです。

自腹経費に要注意

タクシー運転手という仕事では、普通の会社員なら当然会社が負担するような類の出費も自腹になることが少なくありません。

高速に乗ったからと言って必ず早く帰れるとも限りません。乗ってから絶望するという展開もよくあります。

たとえば一番多いのは帰路の高速代で、これは遠方のお客様を目的地までお送りした後、営業エリアに戻るための高速代のことです。

行きの高速代は当然お客様から頂けるのですが、この帰路の高速代をどこまで経費として会社が負担してくれるかは会社によって異なるので、入社前に必ず確認したいところです。

自腹になる場合は下道で帰るべきか、それとも自腹で高速代を払ってでも営業エリアに早く戻って次のお客様を探すべきかを考えなければなりません。自腹を切って高速に乗ったからといって、次のお客様に早く巡り合えるという保証はありません。まさにギャンブルです。

関係あるかないか分かりませんが、タクシー運転手にギャンブル好きが多いのも、意外にこういうところから来てるのかなという気がします。

またそれ以外の自己負担として、決済時のクレカ手数料制服代ガソリン代まで運転手の自腹にしているケースもあります。

わたしの会社では洗車用具一式(ぞうきん・ブラシ・洗剤etc)が自腹かつ自己管理だったので、毎出番ごとに使用済みの汚れたぞうきんやブラシを持って帰って家で洗ってました。

これ、出費はともかく電車通勤組にとっては罰ゲームに等しい苦痛でした・・・

こうした細かな条件は面接でもあまりきちんと説明してくれないことが多く、要注意です。

所定時間<<<拘束時間

これは何度も書いていますが、求人に書かれている所定労働時間は車を出庫してから帰庫するまでの時間であって、実際の拘束時間はそれより2~3時間は長くなります

まず車を出庫する前には当然制服に着替えてアルコールチェックを受け、運転手みずから車両を点検しなければなりません。ミーティングがあったりもするので、一般的には出庫時間の一時間前には営業所に出社します。

そして営業が終わって帰庫すると、まず「納金事務」がありますが、これがかなり煩雑な作業です。

機械で集計ずみのデータからわざわざ電卓たたいて手書き帳票を作成する作業のむなしさとバカバカしさは、この業界でしか得られない貴重な業務経験です(実話)。

売り上げそのものはメーターで自動計算されますが、現金で売り上げた分・各種チケットで支払われた分・クレカで支払われた分・ペイペイやら楽天やらGOアプリやらで支払われた分・・・などなどを全て支払方法ごとに仕分けした上、現金以外の売り上げは全て一件ずつレシートを添付して個別に伝票を作成しなければなりません。多いときは二十件以上作ることになります。

この伝票というのがくせもので、私の会社ではドライバーの名前はもちろん「車両番号」「乗車地(〇〇市××区△△町□丁目〇番まで書きます)」「降車地(同)」「時間」「金額」「決済方法」「乗客数」「決済番号」もろもろ手書き帳票で記入させる様式でした。

これをお客様一件一件、手書きの帳票に書き出していくのです( ノД`)

そもそもこれらのデータは全てメーターやGPSの情報から会社のサーバーに直接転送されているのですが、それをまたわざわざ手書きで書き写させるという、完全に意味不明な時代錯誤のルーティンでした。。。

さらに言うと、わたしの会社ではこれとほぼ同じ内容を毎回の日報にも一覧表の形で記入させたので、もう意味不明を通り越してただの嫌がらせとしか思えないレベルでした。。。

で、この煩雑な納金事務の後、さらに「洗車作業」をしなければ帰れません。

たとえ大雨が降り続く日でも手洗い洗車は必須です。どうせやってもやらなくても出庫即ずぶ濡れだし、なんて思ってはいけません。無償奉仕の社畜魂こそが尊いのです。

私の会社では基本手洗いで機械洗車は不可、しかも水あとを一切残さないレベルに「磨き上げる」ことを要求するようなところでしたから、洗車だけで最低一時間以上かかりました。

いろいろ終わると帰庫してから早くても一時間、売り上げの金額が合わないようなトラブルや「自主研修」が入ったりすれば二、三時間そのまま会社に拘束されることもザラですが、こうした出庫前・帰庫後のサービス労働は勤務時間にカウントされません。

特に大手系はこの種の「自主的」な研修や各種ミーティングの縛りが強い傾向があるので、時間的自由を重視する人は要注意です。

釣り銭も自分で用意する

未経験の人にはあまりピンとこないかもしれませんが、この「釣り銭の用意」も意外にやっかいです。アプリ決済がかなり増えてきたので以前ほどではないですが、それでもメインは現金の支払いです。

いや金塊なら有難いんですけどね。タクドラにとって硬貨、特に100円未満の硬貨はただただ重いだけの荷物です。

特に深夜帯にタクシーに乗る方は、ワンメーター程度の料金でも容赦なく万札を切ってきます。それでもサービス業である以上、釣り銭がないというような状況は許されません。

会社によっては会社で両替を都合してくれたり、一部ガソリンスタンドでも対応してくれることがありますが、基本的には出社前に自分でその日の釣り銭を都合しておかなければなりません。

私はATMで引き出すときに硬貨にしたり、ふだんの買い物の際も(レジの人には申し訳ないのですが)わざと釣り銭が出るようにお札で払ったりして調整してました。

ただしATMに関しては硬貨の扱い自体に手数料がかかるようになってしまったので、今後どうするんでしょうね・・・

ちなみに釣り銭を自分で用意するということは、営業後にその中身に過不足があっても会社は一切知らないよ、ということです。

釣り銭まちがいなどのミスやモンスター客に値切られたり踏み倒された分なども含めて、管理もリスクも基本は全て運転手の自己負担です。会社はノーリスクでメーター通りの売り上げを回収するだけ、マジで鬼です。。。

ちなみに釣り銭ボックスはめっちゃ重いです。

どれくらい重いかというと、私は毎日梅田や難波のような魅力的なエリアを通って通勤していたのですが、一度たりとも通勤帰りに買い物や寄り道をしようとは思いませんでした。。。

そのくらい重くてうざいです。。。

運転手を大切にする会社か

これはちょっと面接に行ったくらいでは分からないかもしれませんが、それでも見るべきポイントはいくつかあります。

まず実際の勤務地を見ることです。特に大手系では面接場所の本社だけ都心のキラキラしたオフィスビルになっていることがありますが、必ず実際の勤務地の営業所を見学させてもらうようにしてください。

更衣室には従業員用のロッカーがあって当然だと、思っていた時代が私にもありました・・・

可能であれば更衣室や休憩室、トイレもチェックしたいところです。

特に買収で大きくなったような会社だと、大手系でもこうした設備の更新が後回しになっていることが多いようです。従業員の福利よりも会社の規模拡大が最優先なんでしょうね・・・

ただ、ここで見るべきは設備が新しいかどうかではなく、「きちんと維持されているか」です。古いトイレでも、きちんと掃除されて清潔に維持されているなら問題ありません。

逆に設備は新しくてもゴミで汚れていたり故障を放置していたりするような会社であれば、その会社は従業員をその程度に考えているということです。

ちなみに私の会社では営業所のトイレには小バエが飛んでいて、更衣室にはロッカーはおろか掃除道具すらなく、床もハンガーもホコリまみれの状態で放置されていましたが、それでトップの口ぐせは「タクシードライバーという仕事を誇りを持てる仕事に変える」だったという。。。

いやその前に更衣室のホコリの方をどうにかしてほしかったですねwww

自腹の通勤費は確定申告不能

こんなところまで考える人は少ないかもしれませんが、通勤距離や金額によっては大きな影響があるので、都心エリアなど、自宅から離れたところへの勤務を考えている方は要注意の部分です。

コロナ禍以降、タクシー会社の経営もかなり厳しくなっているようで、以前なら交通費支給が当たり前だったところでも、特に中高年に対しては交通費を支給しないという条件に切り替えるところが出てきています。

同じ新入社員でも新卒と途中入社の扱いには天と地くらいの開きがあります。といっても最初の半年だけですがね、どうせタクドラだし。ほんですぐ辞めるしwww。

タクシードライバーの場合は歩合給なので、「別に交通費なんて出ても出なくても変わらないだろ」と考える人もいるかもしれません。実際、会社にとっては初回給与で交通費を登録する事務処理が生じる程度で、支払額自体はどちらでも大差ないのですが、給与をもらう側としては大きな違いになります。

まず給与で支給される交通費は非課税です。(※上限はありますが普通のサラリーマンが引っかかるような額ではありません。)

しかしこれはきちんと「交通費」の名目で支給された場合の扱いで、仮に総額が同じ金額でも交通費ではなく給与そのものとして支給された場合はその分も含めて課税対象になるため、所得税・住民税がその分高くなってしまいます。また所属する健保組合によっては健康保険料・年金保険料まで連動して高くなるケースもあります。

そしてその不必要に割り増しされた税金やら社会保険料やらを引かれた残りの手取り給与から交通費を支払うのですから、バカバカしいとはこのことです。

これに対しては「交通費が出ないなら後で確定申告すればいいじゃない」と思うかもしれませんが、現在の税制ではこれはほぼ不可能です。

というのは、通勤費用を確定申告するには「特定支出控除」の要件を満たす必要がありますが、この中に「特定支出控除として認められる経費の合計が給与所得控除額の2分1を超えること」という条件があり、これを超えない限りは経費として申告することもできないのです。(↓リンク参照)

No.1410 給与所得控除|国税庁

この「給与所得控額」は年収によって変わるのですが、たとえば年収400万円の場合では「収入金額×20%+440,000円」となり、124万円となります。

つまり年間で124万円×1/2=62万円以上の経費がかかった場合のみ、62万円を超える額だけ申告が可能ということになります。

ざっくり言うなら月平均で5万円以上の交通費がかかった場合に限り5万円を超えた額を申告できる(年収400万円の場合)ということなのですが、まあタクドラでそんなケースはほぼあり得ないですねww

つまりは交通費が自腹の場合、不必要に高い税金や社会保険料を甘受して、おとなしく搾取されるしかないということです。

歩合給の場合、会社にとっては交通費で支給しようが給与で支給しようが変わりはないはずなので、可能なら入社時に交渉してみてもいいかもしれません。

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