諸悪の根源はドライバーである と君は言う

タクシードライバーをやっていると大なり小なり事故や違反・クレームを受けることが出てきます。もちろんこちらに非がある場合は会社から指導を受けるのも仕方ないですが、中には理不尽に思えるケースも少なくありませんでした。

クレーマー対応が終わっても仕事は終わりません。ええ、内勤のクソどもが納得するまでは。

まあ夜通しほぼワンオペ状態の電話対応やらで事務所の方も散々苦労してるのは分かるのですが、内勤の人たちって言葉遣いは丁寧でも、やはりどこかドライバーを格下に見てるのが透けて見えるんですよね。

別に歳くってるのがえらいとも思いませんが、率直に言って新卒に毛が生えた程度のがきんちょが自分らの父親世代のドライバーに上司面で叱責してる光景というのは、横で見ていてもあまり気分のいいものではありませんでした。

辞めたから言いますが、十年早えんだよ、クソガキどもが

全ての事故はドライバーのせい

内勤いわく、ほとんどの事故はドライバーの運転に原因があり、ドライバーの心がけ次第で防げるものだそうです。

彼らが言うには、たとえ一方的に相手から突っ込んできたような場合でも十分な車間距離を取り、法定速度を守って防衛運転していれば大半は回避できるんだそう。

まして自損事故なんて論外、少しでも危ないと思う道は回避する。バックはしない。危ないと思ったら停車して車外へ出て目視確認するようにすれば絶対にぶつけることなんてあり得ないんだと。まあ理論的にはそうでしょうね。

普段でもこのくらいの酔っ払いが道一杯にあふれてますが、それでもいちいち車外確認しろと?

でも客乗せてたら行きたくなくても袋小路に行かされるし、酔いどれが徘徊するキタやミナミの路地でも突っ込まないと売り上げが立ちませんが? そんでその度いちいち車止めて目視確認なんかしてたら他社からクレーム入りまくりますけど?

ちなみに防衛運転だか何だか知りませんが、大阪市内でまともに法定速度なんか守ってタラタラ走ってたら普通にパッシングとかクラクションであおられて余計に危険なのは一般ドライバーでも常識ですが、まさか車で走ったことないんですかね?

全ての違反はドライバーのせい

ある日、たまたま同じ営業所で同じ日に二、三人のドライバーが転回禁止の違反を切られたことがありました。違反に厳しいことで有名な所長は烈火のごとくお怒りになり、「あれほど転回はするなと言ったのに」とおおせになりました。

私は横で聞きながら、あれ?そんなこと言ってたっけなー、と考えてみましたが記憶にありません。怒られているドライバーたちも首をかしげていましたが、所長が言うからにはそうなのでしょう。

「あんたバカぁ?そもそも車動かさなきゃ違反なんて起きないの!」「はい・・・」

いわく「たとえお客さまの指示でも転回は断るように」「どうしても方向変えたいなら左折を三回繰り返して元の道へ出ればよい」のだと。実車中にそんなことしてたらそれこそクレーム案件でしょうに。。。

まあ法令違反の指示は当然断らねばなりませんが、「転回」自体は二種免許の実技試験項目にもある、れっきとした正当な運転行動です。禁止場所で転回してしまったことは運転手の落ち度ですが、転回を一切するななんてあまりにも非現実的です。

しかしこの類の不条理な説教はどの会社でもやってるタクドラあるあるの詭弁論法なので、あまりまともに受け取る必要はありません。

要は違反の内容が何であれ、「そもそも〇〇する状況を作り出したドライバーが悪い」→「ドライバーが〇〇しないようにすればよい」と指導すれば会社的には問題解決できたことになるからそう言ってるだけで、本気でそれが実現可能だとも思っていないのです。

全てのクレームはドライバーのせい

研修所の教官は言いました。「ほとんどのクレームはドライバーの対応次第で防げます」

Youtubeの人材屋さんも言います。「クレームになるかはあなたの接客スキル次第」

しかしドライバーの実感としてどうかというと、「(防げるものは防げるが)防げないものは何をしても防げない」のが現場の実際です。

確かにそもそもドライバーの対応が悪かったり、乗車時の説明などマニュアルを徹底することで予防できるトラブルも多いのは事実ですが、いくら対応に気を付けて運行していても「遠回りされた」「いつもより料金が高い」など頭が〇かしい言いがかり的なクレームを受けることは決して少なくありません。

そんな場合でも、会社は基本的にクレームがあると全て「ドライバーの対応に原因があるもの」として指導してきます。

タクシー会社や人材屋さんにとって、事故も違反もクレームも全てはドライバー次第であり、つまりはドライバーが正しい対応を行っていればそれらはおよそこの世に存在するはずのないものだ、ということのようです。

こういったドライバーに厳しい態度がドライバーの運転・接客スキルを高めるという面もありますが、実際に何かあったときも会社はドライバーを守ってはくれないということは覚えておかねばなりません。

所詮タクシー会社や人材屋さんにとって、ドライバーなんて入れ替えのきく歯車の一つに過ぎないのです

あと人材屋さんは迷える子羊たちをタクシー会社にハメ込む就職させるのが仕事です。当然このすばらしい業界に接客スキルで解決できないクレームなんて存在するはずはありません。あってはならないのです。ええ、ありませんとも。。。

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