タクドラに転職したころ、前職の退職やら何やらの個人的な事情があって、手元に多少のキャッシュが余る状態になりました。
このマイナス金利の時代にそのまま銀行に置いておくのももったいないので、運用することにしたのですが、株や投資信託は値下がりのリスクが怖いので、他の安定的な運用先を探していました。
近年は仮想通貨やFXなど様々な運用方法がありますが、税金の問題や安定性という部分で鉄板の不動産投資を検討することにしたという次第です。
不動産投資なら「楽待」
そこで不動産投資に関する情報を探していたところ、YouTubeで「楽待チャンネル」というチャンネルを見つけました。
「楽待」は主に投資用不動産の情報を仲介するポータルサイトなのですが、ここの動画は不動産投資のPRというよりも、どちらかというと不動産投資にまつわる失敗やリスク、トラブルへの対処などを知らせてくれる啓発的な内容が多く、不動産投資を検討するにあたってとても参考になる有益なチャンネルです。
そこでこのサイトの情報なら信頼できるだろうと考え、物件を検索していたところ、手持ち資金で買えそうな中古物件を見つけたので、実際に物件情報を出している業者に連絡を取って見ることにしました。
投資物件を扱う業者に電話するのは初めてで、おっかなびっくりでしたが、応対は思ったよりも事務的で、普通に希望の物件を伝え、担当者と面談のアポイントを取って終わりました。
結論から先に言うと、動画チャンネルとしての「楽待」の信頼性とポータルサイトの「楽待」に出稿している業者の信頼性は全く無関係でした。
元タクドラ、インチキワンルーム業者に会いに行く
さて当日。まず迷ったのは、「一体どんな服装をしていくか」という問題でした。
「え、なんで?」と思うかもしれませんが、投資物件を買うというのは、同じ「買う」でも普通の家を買うのとは全く話が違います。
普通の家を買うのであれば、金額はともかくただの買い物ですから好きな格好で行けばいいですが、投資物件は収益のために買います。つまりはビジネスの話をしに行くわけです。
こちらは物件を選ぶ立場であると同時に、業者側もこちらが不動産に関してどれだけの知識を持ち、どれだけの資金を動かそうとしているかを値踏みしてきます。
もちろんスーツで行くような必要はありませんが、全くの普段着ではお出かけ気分が抜けず、戦場に丸裸でのこのこ出かけるようなものです。服装も含めて最低限の武装はすべきというのが私の考えです。
基本的に不動産業者というのは海千山千というのが私の実感ですが、投資物件を扱う業者は一般の不動産業者とは比べ物にならないレベルです。不用意に情報を渡してしまうと骨の髄までしゃぶってくるような悪徳業者でないとも限りません。
服装もそうですが、本当に信頼できる取引相手だと分かるまでは、余計な個人情報は一切与えないくらいの心構えが必要です。
そして実際に今回私がコンタクトした業者も、一見紳士的でしたが、実態は真っ黒黒のくろすけでした。
そんなこんなで私はカジュアルすぎないシンプルな服装で行くことにしました。
最初は紳士的
さて、グーグルマップを頼りにたどり着いたアポの場所は、都心のオシャレなオフィスビルの1フロアでした。
内装も不動産屋というよりもアッ〇ルストアとかブランドショップのようなシンプルで清潔なインテリアで、受付には照明を当てた水槽なんかも飾ってあり、一見とても不動産屋には見えないおしゃれなお店でした。
感心しながら入口を入ると、受付のデスクにスタッフが二人座っていたのですが、私が店に入っても応対する気配もなく、カメラに向かって何やらしゃべり続けています。どうやらオンラインで物件の商談をしている様子でした。
システムが分からずに迷ったのですが、しばらく待っていても誰も応対に出てくる気配もなかったので、仕方なく目についた内線で電話をかけてアポの相手を呼び、商談ルームに入れてもらいました。
5分ほどして出てきたのは二十代後半くらいの若い男性スタッフでした。こちらもインテリア同様に金融・不動産くさい感じが全くなく、どちらかというとユニ〇ロの店員という感じのフォーマル寄りのカジュアルくらいのこざっぱりしたファッションでしたが、派手な感じもなく堅実そうな雰囲気の青年でした。
ここまでの印象では受付の違和感をのぞけば好印象で、第一印象としてはまあ信頼できる業者かなあ、という感触でした。
【追記】そのときは「あれ?」と軽い違和感を感じただけでしたが、よくよく考えたらいくらカメラ映りがいいからって、平気で受付のとこでオンライン商談なんかしてしまう時点でヤバい業者確定でしたね。こんな個人情報ガバガバな会社におちおちプライベートな資産状況の話なんてできませんww。
違う話を始める・・・
名刺をもらい、挨拶を済ませると早々に商談が始まりました。事前に希望の物件は伝えていたのですが、まずは購入を希望する経緯などを確認したいとのことで、資産状況や投資経験などについてのアンケートを記入し、それに基づいて話をすすめるという体裁になりました。
まあもちろんこんなところで洗いざらい本当のことを書く訳もなく、年収も資産額も実際より少な目に書きました。後で考えるとこれは大正解でした。この辺の事情は後編の記事に書きたいと思います。
さて一通りの話が終わったところでいよいよ希望物件の話になるのかと思ったのですが、ここから妙な具合に話の風向きが変わりました。
担当:「ところで〇〇さんは、何をめざして不動産投資をするのですか?」
私:「(え、何をって・・・)いや、資産運用として・・・」
担当:「(謎の間合い)・・・つまりそこの根本の目的がクリアになっていないということですよね?」
私:「はあ、まあ・・・(いや資産運用っってるだろ!!)」
担当:「〇〇さんにはまずそこのところ、不動産投資によって一体何を目指すのかという出口の部分を考えていただきたいのです。その視点がない人は必ず失敗します( ・`ω・´)キリッ」
私:「・・・( ゚д゚)」
担当:「(アンケートを見ながら)ちなみに〇〇さんはおひとり暮らしということですが、不動産投資でどのくらいのリターンを希望しますか?」
私:「まあ月10万~くらいあれば・・・」
担当:「(途中でさえぎって)余裕のある生活にはやっぱり月4~50万くらいはインカムほしいですよね? そのためには今だけでなく将来を見て行動しなければなりません」
私:「????????((( ゚д゚)))))」
担当:「つまり今、手元にお金があるからといって価値のない物件を買ってしまったら元も子もありません。出口をきちんと考えないと不動産投資は失敗します」
私:「はあ」
担当:「まず〇〇さんが将来を考えるなら、安易に手元の現金を使ってしまうのではなく、銀行の融資を引いて信用を高めるべきです。そのうえで物件も最初言われたような築古物件ではなく、ちゃんと価値のある物件を選ばねばなりません」
この辺で私はこの担当が最初からこちらの希望物件を紹介する気などさらさらなく、別のセールス案件を仕掛けようとしていることに気付いたので、途中で話を切り上げて帰ろうかとも思いましたが、わざわざ休日に出かけてきて時間だけ無駄にして終わるのも何だかシャクだったので、このクソ業者がどんなセールストークを言ってくるのか、一応最後までしゃべらせて遊ぶことにしましたww
私:「ではどんな物件に投資すればいいのでしょう? 何かお勧めの物件はありますか?」
担当:「そうですねえ・・・(もったいをつけて)・・・では少しお待ちください」
そうして担当はそそくさと一旦オフィスに戻りました。
激ヤバ凍タヒ物件を持ってきた
実際に物件を検索してたのか、それとも上司か何かと打ち合わせでもしてたのか、しばらく待たされた後に担当が持ってきたのは次のような物件でした。(※特定されないよう多少細部を変えています)
物件1 区分マンション(築8年) 1800万円 家賃70000円
物件2 区分マンション(築14年) 1450万円 家賃61000円
いずれも大阪市内の都心部にあり、ターミナル駅徒歩5分前後と立地は決して悪くありません。「空室リスクはほとんどない」というのもおそらく嘘ではないでしょう。
ただ、不動産投資の知識がない方はこれだけ見てもピンと来ないと思いますが、これは投資した瞬間に負けがほぼ確定のクソ案件です。
少し勉強すればこれがどれくらいクソな物件かは物件概要だけですぐに分かるのですが、不動産の知識がなくても小学校レベルの算数ができる人ならだれでも容易に判断できます(この点は後編で書きます)。
とりあえずこの物件を持ってきた時点で私のモヤモヤは確信に変わりました。
この業者は間違いなく新築ワンルーム詐欺業者です。
厳密に言えば紹介されたのは新築ではありませんが、築10年前後経つ中古物件を新築なみの値段でふっかけているのですから、やってることは同じというか、むしろより悪質ですね。。
この時点で私は全く話を聞く気を失いましたが、その後も担当は淡々とセールスを繰り返しました。
オ〇ックス銀行を勧められる
私は物件の概要を見せられた時点で完全に戦意を失っていましたが、担当のセールストークはなおも続きます。いわく、
「不動産投資では価値のある物件を選ぶことが大切です」
「こちらの物件はどちらも都心の優良物件です。価値が下がることは(ほぼ)ありません」
「買うべきタイミングに買えなくて後悔している人も多いです」
途中で元々の目当ての物件に話を戻そうとしても、それをダイレクトに否定はしないもののあいまいに「ええ、まあそれも一つの選択ですけど・・・」などと言葉を濁しつつ、「〇〇さんにはそもそもこの投資で何を目指すのか、出口を考えてほしいです」と、結局元のそもそも論の出口の話に戻してきました。
そして進めてきたのがオ〇ックス銀行の融資でした。
そもそも私は手元に余っているキャッシュの運用だと言っているにもかかわらず、担当は「将来を考えるなら最初から融資を引くべきです」と言って頑なに譲りませんでした。
そのとき私はタクドラへの転職の前後だったので、前年の年収が400万円代ということも伝えたのですが、
「その年収では基本的に融資はおりないですね。投資ローンでは年収500万円が基準です(→いやだから融資いらんてゆうてるやんwww)」
「ですがオ〇ックス銀行なら低属性の方でも(金利はやや高くなりますが)相談していただけます。他行は無理です( ・`ω・´)」
私は利率が高いなら融資を使いたくないと改めて伝えたのですが、
「では○○さん、そもそも何のために不動産投資をされるのですか? 不労所得で豊かになるためですよね? そこを見失ってはいけません」
「融資を引くことで信用が高まり、二件目、三件目と規模を拡大できるのです。成功されている方は皆そうされています」
等々、まるで融資を引くことが不動産投資成功の絶対条件であるかのように説得してきたのです。
確かに規模拡大のためには早いうちから銀行融資を引くことも有効なのですが、それは専業大家を目指すようなプロの投資家がすることで、余った手元資金を活用したいだけのアマチュアが軽々しく真似することではありません。
株でもFXでも、借金しての投資をしていいのはその道専業の覚悟のあるプロだけです。
しかも彼が言うには私の属性では年利3.9%になるというのです。
マイナスがつく超低金利の時代に、いくら投資向けの融資とは言え、不動産投資でこの融資条件はあり得ません。
よく見ると面談室になぜかオ〇ックス銀行がどこかの役所に表彰された賞状まで張ってあり、業者と銀行が緊密な中であることを隠そうともしていませんでした。
要はこれ、銀行と不動産屋が結託した詐欺スキームだったのです。
もちろん刑事的な意味では詐欺ではないかもしれませんが、投資家側にほぼ勝ち目がないワンサイドゲームという意味で、がぼ〇ゃの馬車事件と同レベルの詐欺的なスキームなのは間違いありません。
もちろん楽待チャンネルをすりきれるまで見尽くした私がこんな初心者ホイホイの詐欺スキームに引っかかるわけもなく、後の話はすべて適当に聞き流して面談を終えました。
唯一救いだったのは、話を保留にして後日考えたい旨伝えたところ、意外にもあっさりと「では後日連絡をお待ちしています」とあっさり解放してくれたことです。後追いの電話営業なども全くありませんでした。
まあおそらく「こいつに営業しても成約の見込みがない」とでも判断されて見切られたのでしょうwww
後でグーグルの口コミを見ると同じような経験の書き込みが多く、どうやら「去る者追わず」という方針でひたすら話に乗ってくる初心者だけをターゲットにしている業者のようでした。
後編ではこの物件が実際にどうヤバいかを検証してみたいとおもいます。(つづく)
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