タクドラは不自由業です

よくタクドラは自由な働き方ができる仕事の代名詞のように言われます。確かに出庫すれば上司もいないし、流しで空車状態なら次の交差点で右に曲がるも左に曲がるも自由、いつのタイミングでどれだけ休憩を取るかも基本的には自由です。

いやだから今どきこんなタクドラいないって何度言えばこの#%&pr[ej;d@dpoer:g::]]agfk

しかし私がこの業界に入ってみて一番感じたギャップは、「タクドラに自由などない」ということでした。

無線とアプリに縛られる

普段タクシーに乗られる方は、最近のタクシーの運転席の周りにいろんな画面が並んでいるのを見たことがあると思います。お客様的には料金表示画面に目が行くと思いますが、それ以外に複数のタブレット端末が並んでいるのを見たことはないでしょうか? ナビならどれか1台でよくね? と思った方、鋭いです。

ええ、いくら何でもこれは盛りすぎですよ、こんなことなってる車なんてスープラくらいしか見たことないですが何か?

会社によって組み合わせは違うと思いますが、私の場合は会社の独自ナビの他にアプリ(G●とかdidiとか)とYahoo地図、あわせて3系統のシステムを平行使用していました。

なんでそんなことになるのかというと、会社からの案件(電話・予約など)とアプリ経由での案件、流しでゲットした案件、それぞれ別個のシステムになっていて画面を共有できない仕組みになっていたからです。

ちなみに会社デフォルトのナビはどれもいまいち精度が悪かったので、業を煮やした先輩方はさらにその横にマイ携帯をセットしてグーグルマップを起動、計4系統の画面を駆使する猛者も多かったです。こうなるともう運転席が画面だらけで世紀末的にカオスなことになってましたwww

このバラバラのシステムからランダムに案件が飛んで来るのですから、ゆっくり休めるのはエンジンを切って仮眠するタイミングくらいです。電源を入れている間はいつ何時案件が来るかわからないので、常時スタンバイの状態です。のんびりしてたらアプリの案件なんて次々とライバルに取られてしまいますし、会社が無線で投げてくる案件はクソ案件ばかりでしたが、うかつに断ると査定に響きます。

まあ最近はタクシー不足ということで大分事情が違うかもしれませんが、コロナの現場を経験した身としてはいつあんな状態に戻らないとも限らないし、都心の今の入れ食い状態がこの先ずっと続くとも思えないんですよね・・・

あと新人は会社からのクソ案件に縛られますが(※別記事参照)、これがまた本気でろくでもないんだわ。。。

ドラレコとGPSに監視される

今や自家用車にもGPSやドラレコが当たり前になりましたが、当然タクシーにも装備されています。

会社にとって運転手は対等なビジネスパートナーなどではありません。いつ何どき仕事をサボっていらん油を売ったり売り上げをちょろまかしたりしかねない監視対象です。

ただタクシーの場合は単に事故に備えてというだけでなく、運転手を監視するツールという側面が強いです。事務所では今出動しているタクシーがどこでどうしているか、ほぼリアルタイムで把握しています。

以前ならそれなりの売り上げさえ上げていればどこで何をして帰ろうが自由といった雰囲気の会社もあったみたいですが、令和の今ではそんな働き方は許されません。程度の差こそあれ、規定以上の休憩を取っているとGPSの履歴やらですぐに露見して怒られます。

また事故や接客のクレームなどがあると問答無用でドラレコの車内映像をチェックされますが、これが頭上45度からの生え際チェック的な絶妙に嫌な画角なんですわ。。まんま監視カメラ。

そんで下手すると本人が退職した後も全国のグループ各社の研修で延々と映像が無修正のまま共有され続けてたりするので、もうなんの罰ゲームかと。。

タクドラには肖像権も人権もありません。

シフトは事務所が決める

「タクシーなら自由な働き方ができる」、そう思ってた時代が私にもありました。。。しかし会社に属している限りそんな働き方は無理というもの、普通に会社の決めるシフトが最優先です。

現代のタクドラは「鵜飼いの鵜」、会社に生殺与奪を握られた馬車馬にすぎません。自由な働き方?何それ、おいしいの?

もちろんある程度の融通はきく場合が多いですが、基本のシフトはガチガチに決まっており、大きな変更はできません。事務所的には遊んでいる車両を極力なくして資本を最大限稼働させるのが使命です。タクドラ風情の個人的な要望ばかり聞いていては、資本家階級の忠実な犬としての本分を全うできなくなってしまいます。。

「隔日勤務」などという人間の自然な生活サイクルを無視した非人道的勤務体系を構築したのも、全てはこの「資本効率の最大化」という資本家の至上命題を達成するため。タクドラの分際で自由な働き方など笑止千万、というのが本音でしょう。

どうしてもそういうのがしたければ個人タクシーでもするしかないですね、最短10年かかりますが・・・

予約客は配車係のサジ加減次第

大抵の会社ではアプリでの集客の他、電話などで会社に直接依頼が来る「予約客」があります。この予約客をどのタクシーに割り当てるかは事務所の配車係が決めます。

もちろん地理的に現地に近いところで空車になっている車から割り当てるのですが、距離だけで割り当てているわけではありません。予約客の場合、会社はある程度どういった案件か知っている(予想できる)場合があります。そうしたとき、法人や固定客など優良な案件は基本的に新人には振りません

じゃあベテランになればおいしい案件をもらえるかというと必ずしもそういうわけでもなく、問題を起こさず事務所の人とも良好な関係を築ける「優良ドライバー」である必要があります。

つまりは会社に忠実で内勤の人に気に入られた人だけが「割のいい案件」というニンジンを得ることができるのです。

サビ残は当たり前

サビ残はブラック企業のサラリーマンだけの特権ではありません。タクドラにもサビ残は当たり前にあります。出庫前の車両点検やらアルコールチェックやら、普通に勤務開始の1時間前には出社して業務を始めますし、帰庫後は洗車作業に納金事務という煩雑極まりない雑務の他、社内の研修やら勉強会やらで2,3時間ざらに拘束されます。

タクドラでもやたら「研修」やら「勉強会」やら仕切りたがる人がいたりしますが場合によっては要注意です。ただのいい先輩ならいいですが、マ〇チだったり宗〇だったり政〇だったりすることもあるとかないとか

むしろ夜勤明けな分、「どうせ今から帰ってもすることないし暇でしょ」みたいなノリでダラダラと際限なく拘束されたりして、下手なブラック企業より質が悪いです。。

【結論】「タクドラはよく訓練された社畜である」

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コメント

  1. Nori より:

    はじめまして、今年の4月まで名古屋でタクドラをやっていた者です。
    記事を全部読ませて頂きましたが首がむち打ちになるくらい頷く事ばかりでしたね。

    自分もタクドラの自由で気楽かつ高収入を理由に入社しましたが、思った以上に不自由かつ上司のパワハラの泣き目に会い病みかけて辞めました。

    特に大手の会社は規則ガチガチでわずかなミスでも人格否定されるぐらい上司に罵倒され自由もへったくれもありませんでした。

    理想と現実のギャップが大きすぎる業界なので会社の説明会や人材屋、タクドラ系Youtuberの言う事は真に受けない方が懸命ですね。

    タクシー業界って都合の悪い情報を頑なに外部に漏らさないのは何ででしょうね?

    また新しい記事を楽しみにしています。

    • ghmd より:

      遅くなりすみません。コメントありがとうございます。とにかく出入りが激しい業界なのでネガティブな情報は極力出さないんでしょうね、メディアとか転職支援界隈にもすごくお金が流れているでしょうし。ライドシェアとか無人運転とか本当に先の見えない職種になってしまいました。わたしの所はいい人も多かったですが、変な人はとことん変でした、、、くれぐれもお体大切になさってください。