記事的には前記事で終わりですが、せっかくの機会なのでワンルーム業者様の卓越した詐欺営業トークwwを祭り上げてしめたいと思います。
営業職の方もそうでない方も、きっと彼らの圧倒的なトークスキルは皆さまのキャリアアップにおいても何らかの参考になるのではないでしょうかwww
「価値のある物件」
これは笑ってしまったのですが、自分の持ってきた物件を「価値のある物件」と引き上げ、私が話を聞きに来た元の中古アパートを「価値の残らない」「ボロ物件」等々、色々と話をしても結局「良い選択」vs「悪い選択」のどちらを選びますか、というふうにすべてを善か悪の二択に還元し、択一的な選択を迫ってきました。
このロジックはご存じの方も多いと思いますが、選択を迷っている相手に問題を単純化して選択肢を提示し、自分にとって望ましい方を選びやすいように仕向けるという、割と古典的な詐欺説得技法です。
新興宗教とか政治団体の人たちも同じ論法をつかいますが、それだけこのロジックに引っかかって「良い選択」をしてしまう人も多いのではないでしょうか。
私はこの「あれかこれかロジック」が出てきた時点でそいつの話は胡散臭いと考えるべきだと思っています。だって世の中、そんな単純なわけがないですからね。。
「平和か戦争か」と言われたら誰でも「そりゃあ平和でしょ」と答えますが、その「平和」の中身次第では「戦争する方が百倍マシ」という事態だって現実にはいくらでも起こります。
その複雑な現実を見せないようにして見せかけの「平和」を選ばせるのが典型的な詐欺業者の手口です。
この世界を善と悪に簡単に二分できるなんて聖書や教科書の中だけですが、交渉ごとなどで相手を上手く言いくるめたいときには結構使えるロジックかもなので、覚えておいて損はないでしょうwww
「買う」or DEAD
これも上の二択ロジックの亜種ですが、不動産営業の常套句に「買えなかった人は後悔してます」というのがあります。
つまり「買った人=成功者」に対し「買わなかった人=買えなかった人=失敗したかわいそうな人」というレッテルを植え付けて「失敗したくない→今すぐ買うしかない」と決断を迫るためのロジックですね。
一見バカバカしく見えるレトリックですが、実際に高額な商品の購入を迷っている人にとってはぐっと背中を押されるワードのようで、不動産や車なんかのセールスでよく耳にします。
こういうレッテル張りって手法としては単純ですが、マスコミや政治家なんかも自分たちの気に入らない相手を攻撃する手段としてよく使ってる非常にポピュラーな手法ですので、きっとそれなりに有効なんでしょうね。まあ民度が低いだけとも言いますがwww
「物件は見ないで買え」
これは営業トークとは関係ないですが個人的にツボったパワーワードです。
私は当然物件の内見をするつもりでアポを取っていたのですが、セールス氏は私の希望物件を持ってこなかったばかりか、自分のおすすめ案件についても紙一枚の資料を見せただけで、実際に現地を案内するつもりもない様子でした。
聞いてみたところセールス氏が言うには「本当の投資家はいちいち物件なんて見ずに買う」んだとか( ゚Д゚)
氏によると良い物件はすぐに売れてしまうので、いちいち見に行っている余裕などなく、資産家と呼ばれる人たちは書類をみて良いと判断したら物件を見ずに買い付けを入れるのだとか。
ほんまかいな、というのが正直なところですが、確かに東京の投資家が地方の物件を買い付けたりというのは実際にある話なので、そういう買い方をする層がいるのは事実です。
但しそれは区分のワンルームをローン組んでみたいな一般相手の貧乏くさいスキームではなく、信頼できるエージェント(←※ここ重要)を通してビル一棟丸ごと買い付けるみたいなレベルでの話です。一般人がマネできる買い方ではありません。
ましてやこんなリスキーな買い方を一般ピープルに軽々しく勧める業者もまともな訳がないですからね。。
「買ったら5年持つべし」という謎の予防線
これは最初意味が分からなかったのですが、件のセールス氏が繰り返したワードの一つに「買ったら最低でも5年は売らずに持ちましょう」というのがありました。
なぜ5年なのかと聞いてみると、税金の問題だというのです。購入した不動産を5年以内に売却した場合は「短期売買」とみなされるため譲渡益にかかる税金が高くなってしまうという説明でした。
何か少し腑に落ちない気がしましたが、面倒だったのでその場では深く突っ込みませんでした。が、後で調べてみると興味深いことが分かりました。
確かにセールス氏の言うような仕組みはあり、短期売買では税率が高くなるのでその分不利と言えば不利になります。
しかしそもそも税金の問題が生じるのは「譲渡益」が発生する場合だけです。つまり5年後に今買った値段よりも高く売れることが大前提なのですが、その可能性はほとんどありません。(※ここ数年のマンションバブルで恩恵のあった一部の都心エリアは例外ですが、既に高値のピークは過ぎていて今から買っても手遅れです。)
ではなぜこんな起こりえない状況に備えた説明を繰り返すのかと言うと、まず一つにはこの投資で税金の心配をしなければならないくらいに儲かるのだと印象付けるという狙いがあるのでしょう。
人間は不思議なもので、ストレートに正面から「この投資儲かりますよ」と言われてもすぐには信じませんが、儲かる前提で税金やらの別のサイドからの話をされると案外コロッとその気になってしまうということがあります。
ボクシングにも守りの堅い正面を避けて側面から揺さぶる戦法がありますが、それと同じです。名付けて「横から攻めるトーク」といったところでしょうかww
二つ目の狙いとしては、短期で売却されると業者が困るという、より切迫した実情があります。
こうしたインチキ投資物件の売買には通常の不動産売買よりも格段に大きなマージンが乗っているのが通常です。実際、件のセールス氏が持ってきた物件の一つは1800万円という提示でしたが、後で調べたら1400万円前後が平均的な相場でした。
ということはこの物件を購入した人がすぐに売ろうとしたら、その時点でインチキ物件をつかまされたことに気付いてしまいます。ワンルーム業者も一応は店舗を構え、社員を雇って「合法的」に商売をしている訳ですので、失敗事例を拡散されたり悪評が立って行政が介入してくるような事態は極力避けたいのです。
また不動産取引の事例は全て指定流通機構(REINS)(※リンク先は近畿版です)のデータベースに掲載され、どの物件がいくらで売買されたかが全国の不動産業者に公開される仕組みになっています。
ということは短期で損切りされたりするとその情報も全国にオープンになってしまい、業者的に非常に都合が悪いのです。
そこで業者的には買った人になるべく長く物件を保有してもらい、ほとぼりが冷めてほしいのです。そうこうしているうちにいい加減な人なら正確な収支も分からなくなり、「何となく手出しが多いけど老後の資産にはなるだろうし、ま、いいか」とうやむやになってくれるのが業者の狙いです。
実際、高収入の人は自分が毎年いくらむしり取られているかも把握せずにクソ物件を何件もだらだら塩漬けにしてたりするようですが、ザ・業者の養分といったところでしょうか。
猿芝居
この手法は普通の不動産屋でも使うので、投資に興味のない方でも不動産取引を考えておられる方は要注意です。
今回の業者もご多分に漏れず、私との面談中にLINEが来たとかでわざとらしく話を中断して携帯を取り出しました。何を言うかと思ったら、担当してる物件で空室が出たけど二週間ほどで次の入居者が決まったという不動産屋からの連絡だったそうな。そーですか、よかったねー。
これは何のためかというと、人気のある物件だから空室リスクなんてありませんよ、退居が出ても次の入居者がすぐ入りますよ、というアピールです。
しかしそんな連絡がえらくタイムリーに入ってくるもんだ・・・と思いましたが、不動産屋との商談中には別件の予約やら問い合わせやら、関係なさそうで妙にタイムリーな連絡が入ることがよくあります。
ほぼ全部猿芝居です。
似たパターンで、新築不動産の内見に行くとやたら他の客とバッティングしたりしますが、これも「これだけ問い合わせのある人気物件ですよ」と印象付けて客を焦らせるために担当同士が示し合わせているケースが多いようです。
まあ人間って良くも悪くも周りに影響されてしまう生き物なんですよね。その悲しい性(さが)すらビジネスに利用する・・・生き馬の目をくり抜くくらいのメンタルでないと不動産業界なんて生き残れないのかもしれません。
ちなみに恋愛でもこの類の演出をするヤツがたまにいますが、マジでうざいのでタヒんでください。。。
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